機嫌の取りかた

自分の機嫌を取ることで世界を維持する。8歳と5歳の娘と夫と、東京の端で暮らす。

大人にこそススメたい。アンパンマン哲学しようぜ!

「2017年一番良かった《映画・ドラマ・アニメ》」は、
それいけ!アンパンマンです。
今年はどっぷり、壮大なアンパンマン哲学にハマりました、という話です。

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アンパンマンには哲学が詰まっている

アンパンマンといえば、お腹がすいた子に自分の頭のアンパンを与え、みんなを守る正義の味方。アンパンマンのおかげで世界は平和…と思いきや、みんなの平和をバイキンマンドキンちゃんが脅かします。二人はあらゆる因縁をつけて食べ物を奪い、そこらじゅうを破壊し、ある時は人質すら取ります。でも最後はいつもアンパンチで基地へと送り返されてしまいます。

そんな前置きすらいらないくらいみなさん一度は見たことがあるアンパンマンですが、アンパンマンの材料は、どこからお金が出ているのだろう、と考えたことはありますか? 小麦粉、バター、卵、あん、砂糖…。結構な種類・量ですよね。見たところ、すべての材料をパン工場の裏庭で自力で賄っている様子は見受けられません。
さらに、その出所不明のパンを、みんなのところに配りに行きます。そこに金銭は介入していないようで、基本的にお願いした分を受け取って「ありがとう」「心がぽかぽかする(綾波)」でなりたっています。
その他のカレーパンマン、食パンマン、天丼マンやその他数々のマン達は、みんなに食べ物を「ふるまい」ます。
モブのみなさんも、何かしらの労働か子育てをしているようです。
生まれてから資本主義しか経験していない私からすると、本当に不思議です。どうやって生産流通が成り立っているのか、なにより平和が保たれているのか。

謎に満ちたアンパンマン世界は、私たちの世界の鏡かもしれない

これまで長女に付き合って、誇張じゃなく100話程度はアンパンマン見せられて見てきたのですが、ある時ふと気付きました。
あの世界では何らかの(労働を条件とした?)ベーシックインカムが導入されているのでは?
そして、バイキンマンドキンちゃんベーシックインカムの輪から外れてしまった存在なのでは?と。

バイキンマンドキンちゃんの行動を観察していると、二人がみんなを攻撃するのはだいたい「お腹すいた」か「暇だから」ですたまったもんじゃねぇな。
お腹が空いた時、二人は奪います。それも、容赦なくたくさん奪い、独占します。「ありがとう」「心がぽかぽかする(綾波)」システムに入れていない、つまり労働の輪に入れていないから奪うしかないのです。しかもこの先も入れないので、できる限り溜め込むしかありません。なにしろお腹がすいているのです。辛いのです。
そして暇な時、二人はみんなに攻撃やいたずらを仕掛けます。自分たち以外のみんなが充足している世界の均衡を崩します。二人は充足していないから、それを破壊し、自分たちに有利な世界を築こうとします。当たり前といえば当たり前です。だって現れただけで「バイキンマンあっちいけー!」と言われてしまう世界なんて、さみしいに決まってるじゃないですか。

既存の「分け合う」コミュニティに入れなかった二人。
それが出自(運命と書いてさだめ)にしか理由がないとしたら、なんだかどうも、救ってあげて欲しくなります。
二人には適切な労働とそれに見合った給料(食料)、健全なコミュニティが必要なのではないでしょうか。
表面化した暴力には、不満が隠れています
アンパンチで基地に追い返すことは容易ですが、それよりもベーシックインカムの輪に入れること、仕事を与え、支えあうことで均衡を保てたら…と思わずにはいられません。

ですが同時に、すべての人を納得させるシステム(輪)など存在しない(つまり戦争はなくならない)、というやなせたかし先生からのアンチテーゼなのかもと思わせるところもあります。
だからアンパンマンバイキンマンにトドメを刺すことをせず、アンパンチで基地に返す程度にすることで、輪から外れてしまった二人を認めているのかもしれません。
倒しちゃったら自分の存在価値がなくなるから、スケープゴート的に生かし続けている説もあります(アンパンマンブラック説)。

輪から外れた二人は、そして世界はどこに向かうべきか

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輪から外れた二人、そして世界には、それぞれの課題が与えられているのではないかと思います。

バイキンマンには、適切な職を見出すこと。
彼は機械設計製造の名手です。彼は数々の機械を生み出していますが、使い方を間違えて兵器となっているだけで、作り方、使い方を誤らなければ世界の発展を望める貴重な機械であり、それを生み出す優秀なブレーンであることは明白です。
発想の転換をし、自分の能力を適切に伸ばし、しかるべき活躍の場を自ら作り出すことができれば、労働の輪に入り、感謝され、「心がぽかぽかする(綾波)」体験をすることができるに違いありません。
そして同じく機械設計製造の名手である(バイクをイチから組み立て、宇宙船すら作る)ジャムおじさんにこそ、彼に活躍の場を与えてやってはくれないか、と願ってしまいます。

ドキンちゃんには、自立すること。
彼女は恋愛うまくいかない系女子です。
彼女は理想の王子様(食パンマン)を待ち続けています。自分こそ憧れの人に愛される存在だと固く信じながら、実際は遠くから見ているだけ。時々変装して接触を図りますが、偽った姿でしか会うことができないのは、自分自身を包み隠さず晒すことに自信がないからではないでしょうか。
なぜなら自分はつまんない毎日を送っているイケテナイ女だとわかっているから。愚痴りながらも、甘やかしてくれる人がいるぬるま湯から出られないでいるのです。
まずは自分を認め、向上心を持ち自立しない限り幸せは訪れないという、耳が痛い人も多い、案外厳しいメッセージかもしれません。

そして彼ら以外の「世界」は、異質な彼らを受け入れること。
おそらくこれが一番の課題であり難関です。自分たちだけが平和であることに満足している現在は、実はひどく硬直した状態です。
今までの世界の流れを見るに、人はどうにも変わり続けないといけないようです。ひょっとしたらバイキンマンドキンちゃんは、世界を変える一筋の光なのかもしれません。ただ変化には破壊が伴うので、大きな抵抗に遭います。そこで良い破壊、理想的な再構築を行えるのか、世界は問われています。

パパママアンパンマンナイト希望

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なんだかバイキンマンドキンちゃんについてばかり書いてしまいましたが、これ以外にもさまざまな哲学が凝縮されています。

基本は小さい子向けなので、話の中で語られる道徳的なことは初期段階のことだけど、それだけにシンプルで人の根っこになるようなものを、時々再確認してしまいます。
また、根っこにあるだけに一度こじれてしまうと上手くいかないものだな、と昨今の現実世界を重ねてしまいます。

子どもの頃はただの正義と悪で食べ物がいっぱい出てくるアニメだと思ってましたが、大人になって、そして子どもができてからその視点も交えて見ると、新たな気づきが溢れてきます。
ぜひとも、子どもたちが寝静まった後パパとママでアンパンマンを鑑賞し議論する、パパママアンパンマンナイトが開催されてほしいものです。
そんなアンパンマンナイトには、どこでも鑑賞できるNetflixが便利…と思ったら、Netflixさん、アンパンマンを忘れていますよ!!
なんとアンパンマン見られないんですね…。
大人にオススメしたいのはもちろんですが、やはり子どもの長時間移動にはスマホタブレットで見られるアニメが欠かせません。
ぜひアンパンマンをラインナップに加えてください!

初めてお題に参加してみました。Netflixさんとの共同お題「2017年一番良かった《映画・ドラマ・アニメ》」でした。

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