機嫌の取りかた

自分の機嫌を取ることで世界を維持する。8歳と5歳の娘と夫と、東京の端で暮らす。

バレンタインが誕生日のあなたへ

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33歳にしてネット歴約20年になる、インターネット黎明期おばさんが、今週のお題「バレンタインデー」に乗っかって、人を探します。バレンタインデーが誕生日だった、「tさん」を探しています。

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「tさん」はハンドルネームの一部。tさんと知り合ったのは中学2年の時で、最近また話題になった吉野家コピペも、2ちゃんすらまだなかったころ。サイトのほとんどは個人が趣味で作ったもので、有象無象でごちゃごちゃで、でも不思議な連帯感があって、ポツポツと気まぐれに集まって暗闇の中で内緒話をするような、修学旅行の夜のみたいな雰囲気でした。

厨二病という言葉もなかったけど完全に厨二病だった私は、自分で書いた小説をとあるサイトに投稿していました。なろう的なサービスで提供されているものではなく、個人管理人が「メールで送ったら載せますよ」というゆるゆるな、ごくごく少数の集まりでした。でもその分作家同士BBS(!)での交流があったりして、そこで私の小説を気に入って話しかけてくれたのがtさんでした。掲示板(!)でのやりとりから、やがて個人的なメールのやりとりになり、6歳年上で九州の大学生でVRを研究していること、その頃は特別だった「ネットで知り合った人の本名」、誕生日が2月14日であることを知るようになりました。

その頃は従量課金のダイヤルアップ接続。学校から帰ったらピーガガーピー↑と鳴らしてメールを受信したらサッと切断。tさんからのメールを読んで、じっくり返事を書いて、またピーガガーピー↑で切断。それでもびっくりする請求額がくるんですけども(パパママありがとう)。

普段絶対に知り合わない人が教えてくれる、知らない世界。きっとtさんにとっては取るに足らないいくらいだったであろう、思春期の悩み。今だったらロリコンの出会い厨だけどね。でも、tさんは「私」と向き合ってメールを書いてくれてる…と、少なくとも私は今でも信じてます。

それからやりとりはPHS(!)のEメールになり、頻度はずっと増して、私は高校生になって、tさんは就職して、配属先が東京に決まった、と聞く頃には1日に1時間以上長電話をする仲になっていました。

本題はそこじゃないから、いろいろごっそり省いて端的に書くと、tさんと会って、その後告白されたんだけど、私はとても酷い言葉で彼と、彼の想いを傷つけてしまいました。恋愛がなんだかよくわかっていない私は、その幼さゆえ、どうしたらいいのかわからなくて、ずっと対等だと思っていた彼と対等でない気がして恥ずかしくて、逃げ出してしまいました。

そんなこともあったけど、ぽつりぽつりとメールのやりとりは続きました。互いに恋人ができたと報告したり、将来について相談したり。でもあの頃のような、互いを必要としている関係には戻らないまま、メールは途絶えました。

でも1年に1度、どうしてもtさんを思い出す日があります。2月14日、バレンタインデーもとい、tさんの誕生日。なんと強力な日に生まれたのだろう。忘れようにも、どうしても思い出してしまうわ。

メールのやりとりが無くなってから10年くらいが経って、私は就職して、数回の恋愛を経験して、結婚して、夫と2人の娘を持ちました。インターネットを取り巻く状況は大きく変化し、本名が当たり前だったり、あらゆる情報により簡単にアクセスしやすくなりました。
私は時々、Facebookの検索窓にtさんの本名を入れます。でも、2月14日が誕生日のtさんは見当たりません。ハンドルネームをgoogleに打ち込んでみたり、そういえば大学に戻ったって言ってたから論文のひとつでも書いてるのではと論文検索をしてみたり。でも見つかりませんでした。ネット歴が長い人特有の、本名はネットに晒さないなのか、ネットの世界からは遠く離れてしまったのか。でもいつかtさんも私のことを思い出して検索してみることがあるんじゃないかな、なんて思って、Facebookは旧姓のまま。

なので、最後の手段として、ブログでちょっと、呼びかけてみます。

パートナーも子どももいるのに、探し出してどうするのか? 焼け棒杭に火をつけたいの? というと、ちょっと違くて、焼け棒杭どころか子ども爆弾2つも抱えてるし、夫が好きすぎなのでそういうことはないんだけど、まずは…この10年間の話をゆっくり聞きたいです。何を経験して、どんなことを考えていたのか、あなたの言葉で聞きたい。そして、私の10年もちょっと聞いてほしい。そして2つ、伝えたい。

1つは、ありがとう。
あなたがくれた「あなたのユニークなところがいいと思う」という言葉は、私の人生が行き詰まった時、崩れそうになった時、私を支えてくれました。

tさんはプログラマなので、「ユニーク」は“おもしろい”じゃなくて“唯一の”っていう意味で、人と違うことが辛くて生き辛かった私に、「私でいいんだ」という包み込むような肯定感をくれて、背中を押してくれました。ありがとう。

あともう1つ。
40歳の誕生日、おめでとう。

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