機嫌の取りかた

自分の機嫌を取ることで世界を維持する。8歳と5歳の娘と夫と、東京の端で暮らす。

無職記念日

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休職して、おそらく一ヶ月がすぎたのだと思う。あっという間。そして今日、私は会社を辞める。正しくは辞めるって言う。おそらく月末には、晴れて無職になる。

溢れる思考

休職して最初のころは、動きすぎたり、動けなさすぎたりで辛かった。

お盆は家族がいて、いっしょに過ごすことで精一杯で、夫と今後のことを話し合うことはあったけど、比較的安定していた。

が、お盆が明けての月曜日は動きすぎた。ちょっと涼しかったこともあって、もともとやると決めていたことに加えて、外やクーラーがない部屋の作業もやった。おまけに、次の日にやろうと思っていたことも「ちょっと時間ができたから」とやった。

ずっと動いたから休もうかと思うけど、なんだか休めない。手を止めると、不安がポコリ、と浮かんでくる。お金。就職。パワハラ。ブランク。キャリア。家事。育児。障害児。自尊心。健康。趣味。気力。思考がぶわーーっと溢れてくる。掻き消すために次々に用事をこなす。

プライド

私が働けない間も、夫は働いているのである。溢れんばかりの仕事を、次々にやってくる横槍をかわしながらこなす。理不尽なことも言われる。気軽に休憩も取れない。何よりこれをずっと続けて、ずっと家族を養わなければならない。

それに比べて私はどうだ。(今は)お金を稼がないでも生きていける。ノルマもクオリティもない。マイペースでできる。変なことを言ってくる上司もいない。そんな恵まれた環境だっていうのに、休むなんてもってのほかでは?なにより、そんな恵まれた環境を、不満に思っている。

私には、「できる人だ」というプライドがあった。子どもがいても、正社員。仕事と家事育児を両立できているかと言えば全然できてなかったけど、子どもがいても“ちゃんとした身分で”働いてお金を稼いでいる。当たり前だと思っていたし、支えだった。ひどく傲慢で、細く弱い支えだ。それを失って、アイデンティティがぐわんぐわんに揺れている。

「正社員だから、夫と対等に家計を担っている」「正社員だから、社会でより活躍している」と、正社員でない人を見下していた。だけどここにきて、労働条件や子供の障害もあって、正社員はほぼほぼ無理だし、周りを巻き込んで挑むガッツも尽きてしまった。「“ああはなりたくない”になってしまう」と嘆く、最低な思考。それに耐えられなくて、不安で不満で不安定。なんと自業自得。

それをかき消したくて、家の用事を次から次にこなす。どれだけやれば許されるのだろう、怒られないのだろう。激しい焦燥感が突き動かす。そして倒れる。

「ちょうどええ」を探して

人生の「ここでいい」を見つけるのは難しい。特にパートナーや子どもがいると。そして、しょうもないプライドが大きいと。

どんなことも、納得感が持てて、そこで力を発揮できれば、それでいいのだ。それでいいはずなのに、プライドが邪魔をする。これと折り合うにはどうしたらいいものか。

夫に相談したら、「できることをコツコツ続けるだけ」。身の丈を認めるだけなのだ。プライドばっかり肥大した私には難しい。

得意なことは努力しなくてもある程度までできる天才型だったので、コツコツとか努力とかが苦手。でも天才ではないので、ある程度まで行ったら壁に当たり、興味が別に移る。だから積み上がらず、横に広がるだけ。
それでもなんとか、壁に当たらず続けられたのが、唯一、デザインだったかのように思う。しかし今回パワハラで、デザインに対する自信もぺしゃんこになった。廃業して、事務や工場にジョブチェンジも考えた。だが結局、これを続けるしかないようだ。

毎日やることリストを書き出して消化していて、今日の分も昨日のうちにまとめてしまったのだが、今日のリストを見ると、別に今日でなくてもよい気がしてくる。なにしろ、無職になったのだから。だったら久しぶりにクラウドソージングでデザインコンペにでも応募してみるか。デザイナーの派遣やパートの情報もぼちぼち見てみてもいいかもしれない。履歴書やポートフォリオもまとめなきゃ。逃げてきたから、前職の実績データは持ち出せなかったけど。

せっかく、無職ライフがスタートしたのだ。焦らない。まずは、できることを。