機嫌の取りかた

自分の機嫌を取ることで世界を維持する。8歳と5歳の娘と夫と、東京の端で暮らす。

子育ては、燃えやすい素材でできている〜義母・マリコへ送る賛歌

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のぶみがよく燃えましたが、こういった件を目にするたび、子育ては大変燃えやすい素材でできていて、非常に取り扱いが危険だと認識させられます。これは歌詞や絵本に限らず、論調であったりすれ違いざまでも起こることで、なぜかなと考えると、「自分の子どもの頃を覚えてないから」と思い当たりました。

子どもが産まれてからクソバイスの洗礼を受けてない母親はいないのではないのか、というくらい世の中には子育てに一言物申したい方が多くいらっしゃるようです。私も近所のババアの「赤ちゃんには靴下履かせないとだめよ(真夏)」「こんな時間に子どもを連れ出しちゃだめよ(18時)」や、電車で隣になったマダムの「この子は母乳ね。目を見ればわかるわ。食べ物とかとても気をつけてるんでしょう。大変ね(完全ミルクです! マックもインスタントラーメンも食べてます!)」等々の素敵な言葉をいただきました。最初は漏れなくヒットされてたものですが、最近はスルー力も、事前回避力も、なんなら迎撃力も上がりました。

こういった小さなことから始まり、お母さんは苦労してなんぼ論調、お母さんに寄り添うはずが失敗して「子育ては母親がするもの」って前提にしちゃう絵本や歌詞、キラキラ子育て雑誌・ネットメディア・SNS、果ては噴飯物の安倍ちゃん推薦・親学に至るまで、母親を神聖視する割にはひどい滅私奉公を求めることは多く、なぜかというと「自分がそうされてて欲しいから」以外の何ものでもないのです。そしてそれは「自分が赤子の頃のことを覚えてないから」なのです。だからあーだこーだ自由に言えるのです。覚えていない思い出は、書き換え可能です。たぶんね、自分が赤子のころの子育ての真実知ったら、そういった人は倒れちゃうよ。母親の中に神を見過ぎだよ。みんなマザコンだよね、結局。

私の中のひとつの指針に、「男はみんな、マザコンロリコンかホモ」という言葉がありまして、非常に雑なので各方面から石を投げられそうなのですが、まぁ、そうだなと。上から褒められたいか、下から褒められたいか、攻められたいかでして。

しかし夫はマザコンでもロリコンでもホモでもないんですね。褒められたいし攻められもしたいみたいなんですけど、女にイイコイイコしてもらいたい気がないみたいです。すなわち義母・マリコ(仮)に期待してないようです。

マリコはね…すごい女でね…。ずっと専業主婦なんだけど、ご飯作らないんすよ。夫が実家に荷物取りに行くと連絡すると、絶対「モスバーガー買ってきて」「ケンタッキー」と言われるそうで、最も驚くべきが、夫が小学校低学年の頃の夕飯の時間が23時であったと。この23時ってのは、義父・タツヒコ(仮)のパチンコが終わって、マックを買って帰った時間なんですよ。ある日はホールケーキが夕飯だったこともあるそうで、最初聞いたときは理解できませんでした。

あと家もすごいことになってるらしくて、私は結婚して5年になるけど一度も義実家に足を踏み入れたことがありません。だいたい玄関前のポーチ。いちばん踏み入ったので玄関の三和土ね。そこも結構まぁアレだから、中はもっとアレなのだと思います、夫の話を信じると。

だから夫は何か「女の役割」「母親の役割」みたいなのを期待してないようで、家事に対して抵抗はまったくなく、逆に反面教師として「リビングは綺麗でありたい」「ダイニングテーブルの上は綺麗であって欲しい」等の思いがあるらしく、そこに対しては厳しいですが、ご飯は何出しても文句も言いません。なので片付けとけば弁当が(月)冷凍唐揚げ・(火)焼き鮭・(水)冷凍唐揚げ・(木)焼き鮭・(金)冷凍コロッケみたいになっても怒らないので超楽です。

一方私の母はのぶみが描く「おかあさん」で、誰より早く起きて栄養たっぷりの朝食を作り洗濯物を干し、仕事から帰ったら買い物をして子どもたちの帰宅を迎え、一汁三菜を毎日イチから作りながら宿題の音読を聞くような人でした。もう、政府が推す「輝く女性」の代表格だよね。でもそれを見て育った私は、「おかあさん」が超しんどかった。子どもや家族を第一に、家事や仕事に励むパーフェクトな「おかあさん」を目指して結果的に病んだ。

そこで私を救ったのがマリコの存在です。マリコで大丈夫なんですよ。夕飯が吉牛や松屋でも、夫、生きてるし。なんなら超いい男に育ったし。まぁ義兄を見るともともとの性格によるのかなと思うところはあるのですが。だから「おかあさん大変だね」じゃなくて、マリコ(仮)でいいんじゃない」って歌が出たら、私はきっと口ずさんでしまうだろうね。ゲスあたりに唄って欲しい。

そんな義母・マリコですが、夫の好物のひとつに「マリコの作ったとんかつ」があります。全くご飯を作らないわけじゃないんですよ。夫いわく、あの肉肉しさがいいんだとか。私は「揚げ物は外食してくれ主義」なので今まで夫にとんかつを振る舞ったことはないのですが(作り方は知ってるよ、母のを手伝ったからね)、そのうちマリコ流の作り方を聞いて、夫好みのとんかつでも作ろうかなぁと思っています。みんなマリコで、いいんじゃない。