機嫌の取りかた

自分の機嫌を取ることで世界を維持する。8歳と5歳の娘と夫と、東京の端で暮らす。

もしハロウィンが8月4日だったなら

f:id:fumisiobox:20181105003051j:plain「ハロウィンが日本に根付いた」と言われたら、好き嫌いはともかく、だいたいの人は「そうだね」と返すだろうと思うくらい、ハロウィンは日本に根付いた。

その理由として、仮装(コスプレ)したい、騒ぎたい、なんかが挙げられるけど、私は「10月31日にやるから」ではないかなと思う。

10月31日。この日はなんの日かというと、「11月1日の前の日」である。11月1日はなんの日かというと、「今年もあと2ヶ月の日」だ。

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私が子どもの頃は、「年末」というのはだいたい11月の終わりくらいから始まっていたような気がする。テレビから流れてくるケンタッキーやクリスマスケーキのCMを見て「あと1ヶ月もあるのに、もうクリスマス〜?年末〜?早くない〜?」なんて言っていた。

が、じょじょにじょじょに、その期間が伸びてきた。11月24日から中旬の線を越え、やがて11月も飛び越え、10月に入った頃から年末年末と囁き始めるようになってきた。いや、もう、さすがに早すぎじゃね。

ものを売るには「買っていい理由」を作り出す必要がある。「◯◯だから買ってもいい」の動機付けに手っ取り早いのがイベントだが、盆が終わってからクリスマスまで、イベントがない。買う理由がない。だから、じわりじわりとクリスマスと年末を前倒しにするしかなかった。が、まだちょっと残暑なころから年末と言うのは、さすがにみんなの目も厳しい。うーむ、これ以上年末を引っ張れないぞ…でも何か仕掛けないと消費の理由が作れない…。

そこに現れたのがハロウィン。

イベント空白地帯を埋め、「ハロウィン商戦」を生み出した。グッズ、イベント、食。消費の一山が築かれた。

そして何より、「ハロウィン終わったでしょ?今年もあと2ヶ月、年末だー!」といいやすくなった。もういいかな?まだかな?と伺わずに、「ハロウィンが終わったから、次はクリスマス始めるね」と容赦なく年末を始める免罪符になった。その証拠に、駅前のドンキでクリスマスイルミネーションが始まった。その先走りの眩しさに、「まぁでもハロウィン終わったしな…」と思わず心許してしまう私。

この年末のゴーサインになっているところが、ハロウィンが重宝がられている理由ではないかと思う。8月4日にハロウィンがあったら、仮装ができても、騒げても、企業には「盆」イベントがあるし、ここまで定着に躍起になることはなかっただろう。

「ハロウィンの次はイースター」と言われてるけど、4月下旬という時期を思うと、ハロウィンほどにはならないと予測する。「新生活」イベントが続いているし、「GW」イベントが待ち構えているんだから。

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「今年もあと2ヶ月」。

渋谷の狂乱にいた人も、地元の駅前のしょぼいハロウィンイベントに仮装してきていた家族連れも、なんとなく年末に向かって行く終息感の中にいたのではないかな、と思う。

ハロウィンは「紅白」。残り2ヶ月の「ゆく年くる年」が始まる。