機嫌の取りかた

自分の機嫌を取ることで世界を維持する。8歳と5歳の娘と夫と、東京の端で暮らす。

趣味の「適正価格」

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お菓子作りが趣味だ。

以前は見た目重視のお菓子のデコレーションでサロネーゼ(民間資格持ちの主婦)へ、今は味を求めてお菓子教室へ。

1回のレッスン料、8000円はザラ。たまに初心者客寄せに5000円があったりする。

夫に話したら「えっ、数時間のために、そんなに!?」と驚かれた。ごもっとも。8000円はそれなりの出費だ。

しかし、やはり8000円のレッスンを受けるとある程度家で作れるようになる。ケチなので、8000円を余さず身につけられるよう、必ず家で復習する。そして何度も作る。しかし作っているうちに、あれはどうなんだろう…と調べると、新しい2万円のレッスンだったり、上級者向けの資格取得コースが出てくるから倒れてしまう。さらに恐ろしいことに、だんだんその額の高さに慣れ、え、この内容でこのお値段!?と1万5千円くらいのレッスンを即決してしまうようになる。いちばん高かったのは4万。さすがに参加まで迷ったけど。

先日は7800円(税別)のレッスンへ行った。大手製菓材料店が定期的に開いている単発レッスンで、パティステリーのようなムースケーキが作れるようになるとのこと。

受講者は6人。一人1台ずつ作る。材料は計量してあり、洗い物もお任せ。作ることにだけ集中できるから、3時間で1日2回転。

できたのはツヤッツヤの赤いムースケーキ。切ると層になっていて、「まるでパティスリー!」とはその通り。自分でこんなの作れるんだーと感動したし、帰ってからも復習して、あと数回作れば自分のものにできそう。家族も満足してるし、これを考えたら7800円…安い…いや、やっぱりちょっと高い。

趣味に払えるのはいくらまで?

月々小遣いは22000円。ここから弁当を作らなかった時のお昼代、飲み物代が出る。頻度は低いが、基礎化粧品・化粧品もここから。下着や衣服も。月に1度くらい、友人と集まる。半年に一度、縮毛矯正をかける。本も欲しいし、お菓子作りの道具や材料も欲しい。物入りだ。物欲から弾くと十分とは言えない小遣いだが、収入・家計から弾くと決して安くはない。むしろちょっと優遇してるくらい。

そこに7800円のレッスン。土日の3時間+往復3時間という時間も使う。やっぱりちょっと高い。どうしてもたまの贅沢品になってしまう。

家でひとり研究するのもアリだが、心弱いので、継続するモチベーションを外部に求めてしまう。金払ってるから続けなきゃでエンジンを回し続け、課金で回し続けるうちにどうにかそれなりに形作れるようになるのが大人の趣味だ。どんなに好きでも、生活のあらゆる雑事に負けてきっかけが埋没し、やりたいことがどんどん積まれていってしまう大人は、あらかじめ時間を金でブロックしないと続かない(ブロックしても続かないのがジム)。

だったら気兼ねなく行けるのはいくらか?
日々のあれやこれやを計算すると…月に1回5時間、5000円が関の山だ。

プロのフトコロ

しかしそんな額で習い事ができるか?というとまた別の話。ムースケーキ作りだって、家で復習していたら「計量めんどくさ…」「洗い物多すぎじゃね…」とげっそりした。このめんどくささを、レッスン前後にやってくれてる。そもそもこのレッスンにたどり着くよう、サイトで集客する手間やシステムもかけてくれている。お金が発生しているのは、レッスンの最中だけではないのだ。

私はお店やサービスのサイトを見たら、必ずそこの採用情報を調べる。採用情報には、企業の困りごとや経営者の方針が透けて見えるからだ。このポジションが手薄で、このくらい払って確保したい困り度か。ここを伸ばしていきたいんだな…。まぁ、単純に給料いくらだろ、っていうゲスな心が大半だ。

7800円のレッスンを主宰している企業の採用情報を見ると…「講師:7000円〜/1レッスン(経験による)」の文字。

えっ、やっす。

そのお菓子教室は業界大手なので、ここで講師をしていたと言ったらある程度のハクはつく。レッスン前後の計量・洗い物はアシスタントがやってくれるとして、でも試作は自分でやらなきゃいけないしなぁ…。どう考えても採算割れだ。

お菓子づくりをしていると、プロの人は人生を賭しておかし作りと向き合っていると感じる。レシピはあるけど、レシピの向こうに無限の知識と経験がある。それを手に入れたプロに教われるならいくらでも…と思うけど、実際のところ財布は有限。それでも適正価格を払ってプロの知識を手に入れるか、プロが自分の人件費を度外視したレッスンを探し出すか…プロもバカじゃないんで、どこかでマイナスが出ないよう計算しているのだろうけど。

私のフトコロはどこにいく?

提供する立場になって考えると「え、この価格でこの内容!?お得!」というレッスンも、いざ現実に財布を見ると「あ…今回は見送りで」となることしばしば。お菓子作りというか、趣味というは贅沢品なので、そこに掛けられないのはターゲット層からズレてるんだろうなぁと、少し寂しい気持ちになる。たまに奮発して参加したレッスンで、常連を目にすると「可処分所得…」と歯噛みしたり。

趣味というのは、札束の殴り合いで、そういった趣味に惜しまない人がプロを支え、業界を支えてくれるから、私のような端っこのものが時々参加できる。どこにいくらかけるかは、その人の人生次第だしな…と思う一方、やっぱりすごく羨ましい。

なので、1回のレッスンに全力で挑み、家で全力に活用する。ムースケーキもちょっと応用して精度を高めよう。そのためには製菓材料を…を探していたら、お菓子教室主宰の大手製菓材料店のサイトが出てきた。

やはりツルハシを売る者が一番強いーーそう思いながら、今日もポチッとする。 

★実験的にnoteにも同内容を掲載しています